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2012年8月2日木曜日

異質なものを弾こうとする心理とは

お勧めの本「ボスだけを見る欧米人 みんなの顔まで見る日本人」
カナダで研究生活をおくる著者は、移民政策にもふれている。
文化による思考の違いは、かくも大きい。海外在住者必携の本(7月25日の投稿参照)
心理的に、安泰な生活に何か解釈できない異質なものがあったり、判断できない曖昧なものがあることに嫌悪を感じるグループがいる。心理学では「認知的完結欲求の高い人」と呼ぶ。
(中略)
「自民族中心主義」は、「民族=国家」という価値観によって、国家が国民にとって強固なアイデンティをもち、結束を強めていかねばならないと主張する。こうした人たちは「自分たち以外」は、憎悪の対象にする。 P189
移民学校に行かねば気づかなかったかもしれないが、こうしたタイプの人は案外オランダにも多いと感じる。

ただし、オランダ人にとって地政学的に近いヨーロッパ圏内の人は異質とはいえない。でも、アラビア圏、アジア圏からの人間は異質。アフリカは植民地時代のなごりがあるのか、割となじんでいるような印象。
心理学では、「自民族中心主義」を自民族中心主義文化間、民族間の衝突を拡大させる極めて望ましくない思考の偏りととらえている。P212
柔軟な想像力をさらに発揮させるには、出自文化と移民した国の主流文化に折り合いをつける「心構え」も重要 P213
一つのものの見え方に固執せず、多様なものの見え方によって自らの立位置を常に相対化すべし。P216
たしかに、簡単な会話すら覚えようとせず、 生活保護費を受給するだけのグループも存在するから、強制的にオランダの主流文化のことを知ってもらう必要はあるだろう。が、私が経験してきたオランダ語教育の背景は、あくまでも「同化」であったため、出自を尊重せず、オランダ人に染め上げるものであったように思う。

強制的に学ばせる「語学教育」は植民地主義の形を変えたものなんじゃないか?


オランダのゲットー(移民たちの居住区)


「ボスだけを見る欧米人 みんなの顔まで見る日本人」の目次抜粋
  • 不必要なものは目に入らない人間 
  • 貧しい子には大きくみえるコイン
  • 写真の背景まで覚える日本人
  • 幼少期からの気配り教育の効果
  • 東西ウェブサイトのデザイン比較
  • 「私は頭がいい」と言い切る文化
  • 日本でドラクエが売れる秘密
  • 心理学と文化心理学の違い
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