このブログを検索

2011年10月8日土曜日

家庭医にひどい目にあわされた話で授業はヒートアップ

コーヒーブレーク時、3人で体調の話をしていた。そこから医者の話になり、私が日本に緊急帰国しなければならなくなった顛末を話した。私の登録している家庭医は「町で最悪」として名をとどろかすハウスアーツである。身の危険を感じるので、これまでに何度も、他の医者に登録変更しようとしたけれど、いつも満杯で拒絶されっぱなしである。


血圧測定のためだけに改めて予約をとるなんて


移民クラスの生徒たちは在住15年、20年選手。おまけに子供がいる人が多いので、この手の情報にはめっぽう強い。ネイティブと違って、情報弱者。言語能力は、まさに生きるか死ぬかがかかわっているのだ。

タバコを吸いにいっていた先生や男子生徒たちが戻ってきた。
「なになに、なんの話?」からはじまって、別の男子生徒も 大怪我をして医者に行ったのに「パラセタモ飲んどけ」で終わり。週末、足が倍以上にはれあがって、予約をとりなおして痛みと怒りをこらえて行ったら、バカンスで誰もいなくて たらいまわしにされた話をエキサイトしながら語ってくれた。初期治療を間違ったために今も痛みが治まらないと怒り新た。

先生、急遽、授業をサバイバルオランダ語講座にスイッチ。
新しい先生は30代前半(たぶん)女性で、柔軟性にとんだタイプとみた。

東欧から来た別の若い女性は、大きな手術を過去にしていて、今も調子が悪くて(いつも とっても顔色が悪い)、医者に行ったら、まともな診療もしてくれず、やっぱり「パラセタモ飲んでおいて・・・・」異国にいる家族に涙ながらに相談したけど、どうすればいいのか・・・

別の男性が、保険会社と家庭医の黒い関係の話をする。
はいはい、私もそのうわさ聞いてますよ。

健康保険にもお国柄がでます


専門医にまわすと、医療保険金がかかるので保険会社から嫌がられ、評判の悪い医者になってしまうのだ。たとえ患者からみて誠実で評判がよくてもね。

アメリカでの「保険会社と医者と患者の関係」の末恐ろしい実態が、ルポ 貧困大国アメリカ  (岩波新書) に描写されていて、愕然としたものだ。続編もでていて、「生活者の視点からみたグローバル化とはなんぞよ」というのが活写されている本、おすすめ!






私もモタモタしながらだけど、体験談を話すと皆神妙な面持ちで聞いてくれる。
そうして、また別の人が、話題をひきとり、続けていくといった按配。

今までの授業にありがちだった、しゃべれる人だけが独壇場ということはない。誰もが平等に、話す機会をもてたのは私にとってはじめてだ!

先生も含めて、ひととおり全員が家庭医体験談で胸のうちをさらけだしたあと、どうやってサバイバルしなければならないかということに話がうつった。

「訴訟」

で、Missers という医療ミスのドキュメンタリーTVををみることに。
医療ミスで家族を失った話で重い。夜に悪夢をみそうだ。先生が心配して「大丈夫か?続けてもいいか?」と気遣ってくれる。

het medisch tuchtcollege (医学の懲戒委員会)に 訴えると、de berisping(戒告、警告)が医者に行き、何度か重なると資格保留か、罰則を受けることになるそうだ。

先生は、悪質な医者をなくすためにも、どんどん手紙を書けという。そうはいわれてもね・・・・実際、ナイーブでむつかしい問題だ。はじめは外国人だから差別されるのかと思っていたが、オランダ人たちも随分ひどい目にあっているのだ。これも政治貧困のなせる結果で、腕利きの医者はベルギーやドイツ、アメリカへ流れてしまっているときく。

新しい先生の授業は、まだ5回ほどしか受けていないけど、取り上げるトピックが実践的なので、ついていけそう。おちゃらけもするし、シリアスにもなれる先生で、私としては今のところ好印象。クラスメイトの雰囲気も悪くない。このまま推移しますように・・・。

ところで日本にいるとき「家庭医制度」はすばらしい仕組みと聞いていた。政策立案者は、患者が医者を渡り歩かないですむように、「家庭医制度」を導入しようとしている。医者と患者の長いおつきあい、医者は患者の病歴や家族関係、嗜好・・なんでも知っていてくれて、顔色みただけで、病気をあててくれる。でもね、ちょっと待った。事情をよく知らない人、それは勘違い。選択の自由がないのは恐ろしいもんだ。

この記事もご参考。
オランダのホームドクター、デモ 2011/10/07 Fri  ポートフォリオ


関連記事

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

►をクリック、投稿が一覧表示されます